ナミチスイコウモリ（並血吸蝙蝠）

9-12 years (wild), 19.5-20 years (captivity)

ナミチスイコウモリ（並血吸蝙蝠） は食血性生物であり、温血動物宿主の血液のみを食べて生きている。牛や馬、時には人間などの大型哺乳類を好んで食べる。この高度に特化した食性は、気付かれないように主要な血管を避け、宿主の苦痛を最小限に抑えるという、細心の注意を払った摂食アプローチを伴う。

ナミチスイコウモリ（並血吸蝙蝠） は小型の哺乳類で、毛深いげっ歯類のような体型をしている。黒または暗褐色の滑らかで短い毛が全体に生え、下半身は淡い。最も特徴的なのは、幅広で平らな牛のような頭、短いマズル、大きく尖った耳などである。また、よく発達した1対の翼と短くでこぼこした尾を持つ。年齢、性別、亜種による外見の大きな違いはない。

森林に生息する。夜行性で、昼間は洞穴や樹洞の中で小規模な集団でぶら下がり眠る。社会性が発達しており、通常100匹、時として1,000匹にも及ぶ大規模な群れを形成することもある。 食性は動物食で、鳥類や哺乳類、おもに家畜（ウシ、ウマ、ブタ等）の血液を吸う。コウモリ目では本種のみが哺乳類の血液も摂取する。眠っている獲物の近くで着地後歩いて忍び寄り、鋭い歯で獲物の体毛がない部分に噛みついたあと、傷口に舌を高速で出し入れして血液を摂取する。30分ほどの間に、自分の体重の40％もの血液を摂取することができる。本種は小型のため血液を摂取したあとは血液の重量や消化のために飛行することができなくなり、地面を飛び跳ねるようにして移動する。その後、水分を大量に摂取し排泄を行う。糞は血液のみを摂取するためか黒く粘着質で臭い。 また、同じねぐらに血液を摂取できなかった個体がいる場合、他の個体が口移しで血液を分け与える。 野生での寿命は約9年。繁殖形態は胎生で、1度に1頭の幼獣を年2回出産する。